会長挨拶

沖縄において日本小児麻酔学会 第13回大会を開催できることは、私たちにとって非常に光栄なことと思っています。私自身東京にあった国立小児病院において小児麻酔に初めて従事してから30有余年になりますが、この伝統ある日本小児麻酔学会をこの南国の地で開催できるとは夢にも思っておりませんでした。沖縄は、離島県なので数年前までは手術を要する重症な先天性心疾患のこども達は、本土の小児病院や大学病院などの施設に搬送して治療をせざるを得ませんでした。心臓病を持つこどもの会を中心として「沖縄にもこども病院を」という県民の願いは20数万の署名運動となって盛り上がり、平成18年4月に沖縄県立南部医療センター・こども医療センターとして、日本の最南端の地にこども病院が誕生しました。

小児麻酔学会が13回目になろうとしているのに、全国的に小児麻酔を目指す若い医師が少なくなっていると、日ごろ感じ危惧しております。そのような中、進取の気鋭を持つ医師たちに小児麻酔の面白さ、奥深さを知ってもらうためいろいろな企画を計画いたしました。小児麻酔を安全に行うという視点を原点として、新しく開発された筋弛緩薬rocuronium や麻薬 remifentanil の臨床使用、小児の TEE使用、挿官困難に対する新しい対策、エコーガイド下穿刺の小児への応用などをテーマとして計画しています。また、小児麻酔をめぐる他科とのアプローチ、たとえば小児の心臓、代謝、血液腎臓などを専門とする医師などによる分かりやすいセミナーを開催して、広く小児麻酔を取り巻く背景を知ってもらえたらと考えています。

我々の病院の理念は、離島医療を支援するだけではなく、沖縄の地の利を生かした東南アジアや広く太平洋諸国のとの交流や医療協力も使命としています。これは沖縄の人々がかつて琉球王国として海外に雄飛し、他民族との平和的な外交貿易を行ったDNAがその使命感を動かしていると思っております。今回も外国からの数名の講演者をお招きする予定ですが、アジア地域の人々の参加も計画しております。決まり次第皆様にはご報告いたしたいと思っています。

第13回大会を11月の年末に近い期間を選択したのは、台風を避けるのが第一の理由ですが、本土の皆様には沖縄の人々の温かさだけではなく、この時期でも温暖な気候と青く澄み切った空やエメラルドグリーンの海をぜひご覧いただけるものと思います。多くの麻酔科関連の医師たちが、この平和を目指している小さな美しい島国で活発な議論をしていただけるよう心よりお待ちしております。

2006年 11月27日