会長挨拶
日本小児麻酔学会第11回大会を私の生まれ育ったこの静岡の地において開催できますことはこの上もない喜びと共に私にとって大きな誇りでもあります。小児麻酔研究会のころから小児麻酔科医として育てていただいたせめてもの恩返しをと思い、少しでも皆様のお役に立てばと努力する所存でございます。 今回の学会テーマを「手術、検査を受けるこどものQOL向上をめざそう」としましたのは、痛み、苦痛をはっきりと口にできないこどもたちのために私たち小児麻酔科医がこれから各方面で参画していくべきだと考えているからなのです。術中、術後の急性期痛、病院でのくらし、がん末期痛、検査時の苦痛などなど私たちが想像する以上にこどもたちは苦しんでいるのかもしれません。 岩井誠三記念講演にはフィンランドからKokki教授を招聘いたしました。小児への脊髄くも膜下麻酔の大家で、多くの論文を発表されています。私も全身麻酔下の脊髄くも膜下ブロックを日帰り患者に応用している関係から、多くの文献に接しており、どうしても直接お会いして御講演を聴きたい念にかられ、面識もないのに不躾にもメールを直接さしあげ御講演を依頼しましたところ、ふたつ返事でご快諾していただきました。Kokki教授はまた御教室の先生を連れてこられるという話しを聞き、急遽Dr Merja Laisalmi にミニレクチャー”Alternative ways of opioid administration in children”をお願いすることになりました。 特別講演には国立病院機構仙台医療センター麻酔科部長の川村隆枝先生にお願いいたしました。川村先生もご自身が開催される国際シンポジウム「Cardiac Anesthesia in Sendai」で大変お忙しいにもかかわらず御快諾いただきました。先生には岩手医大からの研究テーマである心臓外科手術時のSIRSの予防法について、臨床に密着したお話を伺えるものと非常に楽しみにしております。 体温の研究では日本で一番の松川 隆先生、小児の集中治療の領域でリーダーシップをとっておられる中川 聡先生、スタンフォード大学心臓外科で小児心臓手術の臨床をやって来られた新進気鋭の小児心臓外科医である猪飼秋夫先生、小児でも避けて通ることができない末期医療についての話しを奥野滋子先生、こどもの病院での生活に活気を、そして手術や検査も苦痛なく受けることができるようにサポートしてくださる新しい職種のチャイルドライフスペシャリストである藤井あけみ先生には教育講演をお願いいたしました。どの御講演も聞き逃したくないすばらしいテーマです。 ランチョンセミナーにはまず日本でいま注目の的であるdexmedetomidineについて米国でのその使用についてご造詣の深い世界的小児麻酔科医であるLerman教授にお話しいただけます。同日の午後に開かれますα2アゴニストについての順天堂大学 稲田英一教授の御司会のもとに、シンポジウムにもHammer教授とご一緒に参加していただき、日米での臨床経験をつきあわせ、よりこどもの鎮静に役立つdexmedetomidineの使用方法について大いに討論しようではありませんか。 2日目のランチョンセミナーではスタンフォード大学Hammer教授が日本でももうすぐ発売が予定されているレミフェンタニルについてお話しいただけます。 日本小児麻酔学会では「敷居が高い学会だ」と言われるご批判に対して、小児麻酔の初心者に対する教育も学会内で行うよう前回の三重大会から行っております。今回はどこの病院でもたまに麻酔管理しなければならない新生児期に手術を必要とする4疾患について、パネリストから話題を提供していただき、福岡市立こども病院の秦先生のご指導で大いなる討論が行われることを期待しております。先天性食道閉鎖症に対する術中呼吸管理法(瘻ブロックか自発残存か?)なども大いに討論が盛り上がるところではないでしょうか。 静岡の9月は暑く外出しての観光は無理でしょうから、どうぞ涼しいグランシップ内で2日間をお過ごし下さい。 まだこどもの小さいお母様も安心して学会に参加できるよう、有料とはなりますがグランシップ内には保育設備も併設できますのでお申し込み下さい。また多くの講演が行われるグランシップ11階には同時通訳室があり、音が密閉されますので、6組の小さなお子様とお母様がご一緒に講演を聴くことができるようになっております。どうぞご利用下さい。 それでは全国各地の多数の皆様が是非静岡の地まで足を運んでくださるよう切に願っております。
2005年9月 |